[動画有]大江戸SWO出演情報★第57回東京都職場・一般吹奏楽コンクールに出場します。

★第57回東京都職場・一般吹奏楽コンクール 2日目

8月6日[日]
足立区立西新井文化ホール
演奏時刻⇒33番15:45〜
課題曲:1 スケルツァンド(江原大介)
自由曲:瓦礫の城(福島弘和)
入場料:無料
指 揮:樫野哲也

7回目のコンクール出場になります。

いい演奏できるよう団員一同頑張ります。

応援よろしくお願いします。

 

定期演奏会に演奏した動画と楽曲解説貼っておきます。

 

解説:石原勇太郎[音楽学

課題曲: Ⅰ スケルツァンド[江原大介]

 飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍を続けている江原大介(1982-)は、吹奏楽を含む、様々な分野で作品を発表している。《躍動する魂》で第1回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位を受賞し、2009年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲に選ばれたことが記憶に新しいが、今年度の全日本吹奏楽コンクールでも第27回朝日作曲賞を受賞した《スケルツァンド》が、課題曲として選ばれた。

 序奏を伴った3部形式の本作は、古典派以降の西洋音楽で確立してきた「主題労作」の技法と、中世の時代には忌み嫌われ、R.ワーグナーの時代には転調の手法として好まれた「三全音(増4度/減5度の音程)」がふんだんに盛り込まれている。特筆すべきは、その序奏部分。序奏部分は、上記の要素が本作の基本的な姿勢であることを十分に物語ってくれる。本作の主要主題は、テンポを速めた主部でクラリネットサクソフォンが提示する軽やかで愛らしい主題であるが、序奏でその動機はすでに提示されている。また、冒頭のB-DurとE-Dur、Ges-DurとH-Durの主和音の交差は、本作に「三全音」が浸透していることを暗示している。

 「スケルツァンド」という題名は「おどけて」というような意味の音楽用語と同じであるが、それはイタリア語では「予期しないような、嘘のような出来事」を示す時に使用される。快速なテンポの中で、予期しないような転調や展開が行われる本作は、まさに「スケルツァンド」の題に相応しい豊かな楽想で満たされている。


スケルツァンド

 

自由曲:瓦礫の城[福島弘和]

 人気作曲家の福島弘和(1971-)は、水爆実験の悲劇を描いた《ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶》や、東日本大震災の復興を願って作曲した《希望へ続く道》など、悲惨な出来事や、それに対する哀悼の意を込めた作品を数多く発表している。埼玉県立芸術総合高等学校の委嘱により作曲された《瓦礫の城》もそのひとつ。《瓦礫の城》は、福島第一原子力発電所の忘れがたい事故をテーマにした作品。《瓦礫の城》とは、かつて私たちの生活を支えていた福島第一原発が、「瓦礫」が積み重なるだけになってしまったことにちなんだ題名なのである。作曲者の福島は、本作の東京初演を指揮者、樫野哲也に託した。樫野がこれからの日本を担ってゆく世代にして、政治への参加も積極的に行っていることに、福島は何かを感じたのかもしれない。

 重苦しいF音とC音の空虚5度の中で、本曲の核となる5つの音(As・B・G・F・As音)がうごめく。F音が、Fukushimaと関係していると考えるのは考え過ぎだろうか――少なくともD.ショスタコーヴィチ以来、政治的なメッセージが「音名象徴」に込められることが多いという事実があるのだ...。

 冒頭から続くうごめきが強まり、頂点を築くと、グロッケンに十字架音型を多く含む動機が現れる。クラリネットのソロはなんとも悲痛な叫び。続く急速なテンポの部分では、あの5つの音はもちろん、半音階的動機や、連続する3連符が目立つ。これらの要素が交錯し、崩壊してゆくと、凄まじく不協和な空間を生み出す。またも空虚5度の空間に至り、最後には5つの音が垂直に重なり無へと帰する。

 本作とは直接関係しないが、福島は《ラッキードラゴン》の解説で、次のようなことを書き残している――この曲[《ラッキードラゴン》]を吹奏楽コンクールなどで、若い方達が接すれば、少なからずこの出来事や今も続いている核実験など考え感じてもらえると思います。そしてその演奏を聴いてくださったお客様も何かを感じていただけると思います。そうやって「忘れてはならない」輪が少しずつ広がって行くと望んでおります。


瓦礫の城